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『TV童話 幸せな世界』: 世界でいちばん大切な思い [映画・ドラマ]

ひとりの紳士が花屋の前に車を止めました。
もう何年も会っていない故郷の母親に、
花束を贈ろうとしたのです。
その紳士が店に入ろうとすると、
女の子が道端に座り込んで、
しくしく泣いていました。
紳士は、女の子に近寄って聞きました。
「こんなところでどうしたの?」
女の子は、べそをかきながら言いました。
「お母さんにね、バラの花を一輪あげたいの。
でも、お金が足りなくて……」
女の子をかわいそうに思った紳士は、
故郷の母親へ花束を届けてもらうように
注文した後、バラの花を一輪プレゼントしました。

「はい、お嬢ちゃん、もう泣くのは止めなさいね」
女の子の顔に笑顔が広がりました。
「ありがとう」
「どういたしまして」
店を出た紳士が車を出そうとバックミラーを見ると、
女の子が紳士のことを見ていました。
紳士は窓から顔を出して言いました。
「早くお家に帰りなさい。暗くなるから」
「でもわたし、行くところがあるの」
「お母さんが心配するよ」
「わたし、お母さんのところに行くの」

女の子が指した向こうには
共同墓地がありました。
女の子は紳士に手を振ると
墓地に向かってかけて行きました。
まだ新しいお墓の前で、
女の子は立ち止まりました。
そして1輪のバラを
大切そうにそうっと置きました。
そのお墓は、1ヶ月前に亡くなった
女の子の母親のお墓だったのです。

紳士は、女の子を優しく見送った後、
また花屋に戻りました。
「さっき送ってもらうように
頼んだ花束をキャンセルしてくれ」
紳士は、抱えきれないほどの
バラの花束を買い、
5時間かかる母親の家まで
まっすぐ車を走らせました。

「一輪のバラの花」 パク・インシク:企画/イ・ミエ:文、構成/笛木優子:訳『世界でいちばん大切な思い』東洋経済新報社 より

家族、親をを大切にする儒教文化の韓国らしい実話。女の子が独りで亡き母にバラを1輪捧げる切なさに胸がキンとし、最後の紳士の行動・思いの温かさでホロッと安心させられる。

とかく、忙しさにかまけ、いろんな言い訳をして、ことを簡単、自分にとって便利で楽な方法で済ませてしまうことがある。自分では同じように思いを込めたつもりでも、相手の感情はどうだろうか? この童話を翻訳した笛木優子さんの「両親を大切にする気持ちや友人を思いやる気持ち、それもこころに思うだけではなく、ちゃんと行動に現す姿にふれ、私自身も変わりました。変わったというより本当の自分になれたような気がします」という言葉に、この本で表現されている「世界でいちばん大切な思い」の意味が表れているように思う。

このエピソードでは、母の墓にバラを手向ける女の子も、花の配送で頼んだ紳士も、バラを買って誰かに捧げようとした点では一緒。でも、お墓の中のお母さんは女の子に「ありがとう」と感謝のことばを返すことすらできない。お母さんのためのようだけど、実は、母を思う自分の気持ちのやり場をつくる自分のための行動にすぎない。でも、息子から贈られたバラがたとえたった1輪だけであったとしても、息子が遠路はるばる届けに来てくれて顔が見れてうれしいだろうし、母への思いが伝わったことを息子もまたうれしく感じるだろう。その手間を惜しみ、ただ配送を依頼しただけで、母親の顔を見ないまま、もし母が亡くなってしまったら、「あの時会いに行けばよかった…」と後悔するだけだろう。

「思い」も、どんな行動でそれを伝えるかで、決定的な違いを生むこともある。どんな「ことば」でそれを伝えるかは自分次第[ぴかぴか(新しい)] 「世界でいちばん大切な思い」 自分はちゃんと伝えているだろうか?


韓国KBSテレビ『TV童話 幸せな世界』の「一輪のバラの花」(日本語字幕付)はこちら:
http://world.kbs.co.kr/japanese/program/program_happytv_detail.htm?No=9448
   翻訳本とTV版の日本語字幕、ちょっと違いありますが、それぞれによさがあります。。。。
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映画 『幸せの始まりは』  ほんのちょっとの修正 [映画・ドラマ]

誰でも、ほんのちょっと修正するだけで人生がいい方に回りだす

映画『幸せの始まりは』(原題:How Do You Know)より

リース・ウィザースプーン演じるリサ、ソフトボール一筋だったが突然解雇される。メジャーリーグでピッチャーとして活躍している有能な選手のマティと同棲を始めるがしっくりこない。ブラインドデートの相手ジョージは父親と貿易会社を共同経営している青年実業家だが、国税庁の調査を受け人生崖っぷち。それぞれ最悪な状況の中で出会ったリサとジョージは少しずつ心が通っていく。

ロマンティック・コメディ、ラブ・コメディーの割には恋の盛り上がり方が微妙で、リース・ウィザースプーンも年取ったなぁ~、この映画失敗だったかなぁ~と思い始めたラストにとってもいい「ことば」が!!

マティから、婚約の約束(婚約自体が約束なのに…)の証として高級ブランド時計を贈られて、ちょっと引いてしまったリサの心を揺さぶり、その心をグッとつかむ満塁ホームランがこのセリフ。高価なプレゼントのマティと対照的に、ジョージはクシャッと紙袋に入れたプレゼント。ジョージ曰く「誰でもほんのちょっと修正するだけで人生がいい方に回りだすっていう証拠」の「ネトネト」。

ガスや電気の暖房器具が主流になり、旧来の暖房器具のすすを掃除するための「白のネトネト」が廃れて困っていた人が、義理の姉からの、色をつけて、子どもが遊ぶための「カラーのネトネト」に転換する提案をヒントに再び成功したエピソードからこの「ネトネト」は、ジョージの心の支えとなっていた。見た目は悪いけど、ずっと大事に持っていた心の宝をプレゼントして励まそうとするジョージにリサは感動し、やっとジョージの思いに答える決心をする。

「ほんのちょっとした修正」というか、誰かの一押しでフッとスイッチが入り、再び前向きに進みだせる転換点って、振り返ってみれば確かにある。

正直、時間にしたら5%のラストシーン(ほんとにラストのラストです)だけのために、残りの95%が存在するとも思える映画だから、映画自体はお勧めできるものではないが、この証拠物件「ネトネト」エピソードはちょっとおもしろかった。「ネトネト」は、キーボードをきれいにするためのジェル状のクリーナーに似ている気がしてならない。。。

『幸せの始まりは』 予告編はこちら:


映画の公式HPはこちら:
http://bd-dvd.sonypictures.jp/shiawase-hajimari/
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